オヤヂィの独言

限りある時間の中でゆっくりと・・・

好き嫌いが罷り通る下剋上

サラリーマンの世界では部下が上司になってしまうという状況は当たり前のようにある。
能力の差ならそれもいた仕方ないかと納得はする。が会社組織はそんな道理ばかりではない。

オヤヂィの知り合いにA氏という人物がいる。このA氏、顔は強面なのだが実力は
ある。仕事ができる。だが人付き合いがうまい方では無い。

このA氏、部署を突然かえられてしまった。代わってやってきたのは所謂ど素人。このA氏が
担当していた仕事は専門の知識が要求される。勿論仕事は滞る。改めてA氏の存在の大きさが
証明されるのだが、会社はA氏を忙しい時だけの手助けとしてそのど素人のサポートを追加で
命じた。

A氏が移動させられた部署は今までの部署と全く関係の無い場所。いわゆる閑職である。かといってミスを仕出かしたと云う訳ではない。

では何故閑職に追いやられたか。
残念な事に好き嫌いで行われたようである。
それでもA氏は腐る事をせず自分に課せられた仕事を粛々と熟す。

そのA氏がまた移動を命じられた。その場所はさらに閑職。最早、短期のアルバイト学生が
汗を流すような場所である。

彼の実績を踏まえるなら今頃会社の上層部であってもおかしくはない。

周りの知人から、ついに彼が会社を辞める決心がついたと聞いた。
先日、とうに辞めたと思った彼をある場所で見かけた。

声をかけようかと部屋に入ろうとしたが、止めた。
今の姿を知り合いに曝したくはないのではないか、と思い入るのを止まった。

そのままそこを後にしたのだが、気持ちは複雑である。

会社組織では能力だけで判断されない。
今、中高年の再就職はとても厳しい。
彼は彼の考えがあって組織に残る事を決心したのだろうが、オヤヂィはそんな組織が嫌で
飛び出した口である。


額にタオルを巻きランニング姿で汗を流す彼を
これからも陰ながら応援したい。